【2024年】最低賃金の引き上げを示唆 目指せ1,500円!

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2024年10月22日(火)、日本経済団体連合会(以下:経団連)の十倉雅和(とくら まさかず)会長は、『最低賃金を1,500円/時』へ引き上げることに対し、否定的な意見は、混乱を招くとの意見を表明しました。

2024年度の最低賃金は、全国平均1,055円/時となっています。

岸田政権の際に、2030年を目標に、1,500円/時まで引き上げるとの表明があったが、年々均等に引き上げるとして、あと6年とすると、6%/年に引き上げる必要があります。

政府や経団連の思いとすれば、もっと早く実現したい思惑があるようです。

そうでもしないと、円安や物価高には対応できないというのが正直なところではないのでしょうか。

一部のメディアでは、『日本はすでに裕福な国ではなくなっている』との意見も出ています。

給料に例えると、月給20万円の人が、6年後には月給30万円になることと同じです。

一般企業に勤める身としましては、夢のような話です。外資系の企業やベンチャー・IT企業といった花形の職種ならば、そう珍しくはないのでしょうが、中小企業にとっては、なかなかハードルが高いようです。

最低賃金を計算するのはいつ

現在の日本の最低賃金の平均は、前述したように¥1,055円/時となっています。

これは、今年の10月に改定された指定賃金の全国加重平均となっています。

全国加重平均とは、企業の賃上げ額を単純に足していき、1企業あたりの平均値(足した企業数で割る)を算出する方法です。

賃上げ額の対象は、組合員(つまり一般社員)の賃金の上がり額となりますので、実質により近い数値と言えるでしょう。

最低賃金の比較と範囲

2024年10月での全国ワーストは、秋田県の¥951円/時。全国トップは、東京都の¥1,163円/時となっています。地方は、4桁に届かないのが現状のようです。

また、パートの最低賃金の上げ幅の目安は、¥50円/時となっていますが、仮に¥50円/時が実現すれば、過去最高の上げ幅となるようです。

そして、試用期間であっても、出来高制、日給月給、研修中であっても、この最低賃金に換算した際に、最低賃金額を超える必要があります。

尚、最低賃金の算出対象は、基本給と諸手当となっています。

ここで、諸手当の範囲は限定的で、臨時に支払われる賃金や賞与、時間外労働割増賃金、皆勤手当などは、その対象から外れますので、注意が必要です。

最低賃金の引き上げが企業に及ぼす影響

人件費の増加

現在雇用している従業員で、最低賃金に満たない社員に対し、支払われる賃金が、増額されるため、人件費に直接影響します。

人材不足である昨今、大企業はさておき、中小企業や体力がない企業には、高い負荷がかかります。

倒産や廃業する企業も出てくることが予想されています。

そこへ持ってきて、経済同友会ー新波代表は、『最低賃金の引き上げで倒産するような企業は、守ってはいけない。』との発言には、ネット上でも騒然としていました。強者の理論と言うべき発言です。

確かに資本主義経済は、弱肉強食の一面があります。しかしながら、日本企業の大多数は、中小企業なのです。もっと丁寧で、慎重な説明が必要であったのではないかと思います。

新規事業への意欲減退

新規事業へ挑戦する際は、必ずと言っていいほど、人件費は問題となります。

賃金が増加することで、必要な費用を確保できず、新規事業への挑戦に対し、二の足を踏むことも予想されます。

また、組織の活性化のためにも、定期的に配員を検討する必要があります。新規で人が雇えなかったり、有能者を雇用できないなどの問題にも発生する可能性があります。

扶養制限内で働く人の稼働時間の削減

パートやアルバイトなど、扶養されている方は、年間の所得に対し上限が設けられています。

賃金が増加することで、労働時間を削減する方向に向くこととなります。

人材不足で、困っている企業(特に中小企業)には大きな足枷となりかねません。

賃金格差が少なくなると、正社員はやる気がなくなる

企業は、最低賃金を満たすため、その基準に満たない社員の給料を引き上げる必要があります。

しかし、その基準を満たしている人へのフォローはどうなるでしょうか。

社員全員の給料を引き上げることができれば、問題ありませんが、体力のない企業は、基準に満たない社員の給料を引き上げることを優先するはずです。

そして、基準に達している社員に対する引き上げは、後回しになる可能性が高くなります。

そうなると、給料が上がる人、上がらない人が発生し、報われない方の人は、不満を募らせます。

人は感情の生き物です。モチベーションが下がれば、できることでもしなくなります。

いずれにしても、企業成績に直接影響が出るのは必定です。

まとめ

単に給料が上がることを、両手をあげて喜べないのが現状です。

ただ、物価高や円安も待ったなしで、押し寄せていることも事実です。

この局面での舵取りは、大変難しいことと思います。

企業の成長と、そこで働く人の気持ちの狭間で、何を優先し、何を犠牲にするのか。

ここまで来てしまうと、痛みを伴わない選択は、不可能と思わざるを得ません。

慎重且つ迅速な対応と希望ある未来を期待します。

最後までご覧になって頂き、ありがとうございました。

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