人生100年時代を迎え、巷では、医師不足が深刻化しているとして、問題視されています。それに加え、地域格差も発生しているようです。
田舎は人口が少ないから医師が少ない、都心は人が多いから医師が多いといった単純な相関関係ではないようです。
また地方自治体もさまざまな取り組みを行っていて、医師獲得に対する自治体の姿勢が、結果に大きく作用した感があります。
では、全国的に医師がどれほど不足しているのか。なぜ地域差が生まれたのか。今後どうなるのか。私なりの書簡を含め調査してみました。
医師不足が日本全体に広がっておて、地域差も生まれています
医師の人口推移
2021年3月厚労省が発表した医師数の統計によると、1982年には約168,000人の医師数が、1963年には、約201,000人。2012年には、約303,000人。2020年は、約340,000人と年を追うごとに右肩上がりの状況です。
人口10万人当たりの医師数も、1982年は141.5人。2000年は、201.5人。2020年には、269.2人と単位数当たりの医師数も増加しています。
都道府県別にみた人口10万人対医師数の比較
👍ベスト3件
- 徳島県 338.4人
- 京都府 332.6人
- 高知県 332.0人
👎ワースト3位
- 埼玉県 177.8人
- 茨城県 193.8人
- 新潟県 204.3人
単位数当たりの医師の人数は、2倍程の格差があります。また、都心部だから優遇されているということもないようです。
また、前述の数字が適切なのかどうか、いまいち分かりにくいと思います。
そこで、世界の38カ国が加盟するOECD(世界協力開発機構)の平均は、人口1,000人当たりの医師の人口は、3.4人となっています。日本の統計から試算すると、2.4人となり、他の国と比較しても、少ない国となっています。
このような事実を深刻に捉えた自治体は、この数年に渡りさまざまな取り組みを実施したようです。
医師不足に積極的に取り組んだ地方自治体
その代表は。ワースト3位の新潟県です。
医師の卵である研修医に対する福利厚生を充実させていきました。また、国家試験合格後は、9年間の在住を条件に、学費の免除や勤務形態の柔軟化、住居費の補助等を行っていったようです。
余談ですが、国家試験合格後、9年間となると、35〜40歳程度となります。結婚を意識する年齢です。そうなると9年間どころか、永住という選択肢も出てくるのではないでしょうか。
医師不足に対する懸念事項
政府も自治体も大学側も医師の養成に血眼になっていますが、まだまだ問題は山積しています。
人口の偏在もありますが、男女比率、専攻科の偏り、年齢の偏り、等々です。それに加え、2024年の働き方改革が実施されました。労働時間や労働環境が一新します。医師を志す人が更に減少するのではないか。海外へ流出するのではないかと、さまざまな憶測が流れています。
老齢化社会を下支えする医師の養成は、急務中の急務と捉えざるを得ない状況です。
医療現場の声に即した、更なる改革を切に希望します。
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